リスクマネジメント
僕は慎重派。物事が上手くいかなかった時を想定してよく対策を打つ。
現在21歳。仕事はブロガー。
会社に雇われるリスクを避けるために選んだ仕事だ。
収入は毎月20万から30万くらい。
自分で安定する仕組みを作った。
今後は自分のやりたい事だけやってゆくつもりだ。
現代はスマートフォンブームから100年が経ち、ブームは完全にロボットフォンブームに切り替わっていた。
このロボットは自分の分身だ。風邪をひきそうになったら、かなり早い段階でその知らせをくれる。ちょっとした予知能力みたいだ。解決策もすぐ提示してくれる。
歩いていて視界に映った女の子がいたら、顔認知システムが作動して自分との相性を事細かく教えてくれる。さらに結婚相手に向いているかどうかさえも調べてくれる。
僕のロボットフォンの名前はタカシ。
タカシはよく働いている。体調管理、ストレス低減、感情コントロール、いろんな分野のあらゆる場面で助けてくれている。
現在生きてゆく上でのリスクはタカシが全て想定してくれているので、とても頼もしい存在になっている。
ある日僕は可愛い彼女が欲しいとタカシに相談した。タカシはすかさず最寄り駅の南口に行くよう指示を出した。
そして長髪にフリル付きのスカートで、小さなピンクの手提げバッグを持った女の子が現れたら声をかけるようにと言った。
僕はそんな大胆な事までしなくちゃいけないのかと一瞬戸惑ったが、タカシのアドバイスなので素直にやってみようと思った。
駅の南口で待っていると、タカシの言ってた容姿の女の子が現れた。めちゃくちゃ可愛いかった。
すると女の子がこっちに向かって歩いてきた。僕の前で立ち止まり僕の顔を見てこう言った。「この前電車の中で見て一目惚れしてしまいました、付き合って下さい・・」
僕と彼女が付き合ってから一年が経った。
今日は一年記念日なので、夜に素敵なレストランを予約している。このレストランのチョイスもタカシのアドバイスだ。
彼女とはレストランで待ち合わせの予定だった。ところが待ち合わせ時間が来ても彼女は一向にくる気配がなかった。
「なあタカシ、彼女なんで遅れてるのかな?」
「・・・・・」タカシは反応がない。
「タカシ?」
「・・・じ、実は・・」タカシは重い口を開いた。
「この一年、二人が付き合っているのを見て君がとても羨ましくなってしまった。次第に君に対して嫉妬心が芽生え始めた。彼女を僕のものにしたいとも思った。だから彼女にメールを作って飛ばしておいたよ」
僕は青ざめてすぐメールをチェックした。覚えもないのに彼女にメールを一件送っていた。
「今まで黙ってたけど、もう君のことが好きじゃないんだ。レストランはキャンセルしとくね。さようなら」
まだワインも飲んでいないのに、僕の視界が急にぐらつき始め。眠たさと気だるさで意識が遠のいてゆくのを感じた。
0コメント